代表理事 奈良輪美幸

「児童養護施設の現場で働いていて感じたこと」

朝起きて、朝ご飯を食べて、施設から学校へ行く。
帰ってくると宿題をしたり、友達と遊んだり。
夜はみんなでご飯を食べて、寝るまでの時間はTVを見たりゲームをしたり自由に過ごします。
休日は、予定を立てて外出することもあります。
普通の家庭となんら変わりません。
私が担当していた子どもたちとは、
怒ったり、泣いたり、喜んだり、笑いあったり、励ましあったり、色々な感情を共有させてもらいました。
子どもたちはみんな明るくて、人を楽しませたり笑わせたりするのが大好きな子たちばかりだったので、私の方が元気をもらうことも本当に沢山ありました。

ですが、子供たちは“親がいない”という現実に、
日々向き合っていたんだろうなと思います。
施設での生活の中で、
学校での友達の何気ない一言で、
家族連れの多い公園で、ショッピングモールで…
周りの子と比べて、感じなくてもいい負い目を感じて、我慢することが当たり前になって、友達につく嘘が少しずつ増えていったりして。
日々の生活の中で、子供たちは沢山の壁と向き合いながらも強く生きているのだと思います。

施設に入所してくる時点で、喪失体験を経験して心に傷を負っている子がほとんどで、
大人を信じられず、自分に自信のない子が多いように感じていました。
“この大人は、信用していい人なのか。”
“この大人は、どんなことをしても自分のことを好き でいてくれるのか。”
子どもたちはありとあらゆる手段を使って、私たち大人の愛を試します。

生活の中で、沢山の壁と向き合いながら、更に身近な大人を試さなければならない子供達の心理的負担は計り知れません。
もちろん受け止める職員側も、相当な忍耐力と精神力が必要になります。

そして、時間をかけてようやく信頼関係が築けたと思っても、
職員の都合や会社の都合で、担当職員は入れ替わってしまいます。
言ってみれば、子どもたちにとっての父親的存在、母親的存在の人が、数年ごとに変わっていってしまうのが現状なのです。

職員にも自分の生活があったり、施設の運営上、仕方のないことなのですが、
児童養護施設で生活している子供たちが、
人生を投げ出さずに幸せに生きていくためには、失くなることのことのない居場所があり続けること、
そして、人生通して寄り添ってくれる・見守ってくれる・愛してくれる人の存在が絶対的に必要だと感じました。

だからこそ私たちTimeは、施設の外から、長く、子供たちに寄り添い続けられる大人でありたいと思っています。
その年齢に合った遊びを通して、心と心の繋がりを作っていけたら幸いです。

私は施設を退職した今でも、担当していた彼ら・彼女らが大好きです。
その子たちを、私なりの方法で応援し続けたい、その思いが私の原動力となっています。

 


 

熊田健太郎

僕の過去から現在に至るまで、色んなことがありました。

今でもそうです。

ただ、いつも思うのは
周りに助けられているということです。

周りの人が手助けをしてくれたお陰で今があります。

いつも救われているなとそう思います。

気付けば救われています。

僕も誰かのその一人でありたい。

 

 


 

奈良輪侑亮

僕自身、小学3年生の頃に教師と衝突をしました。
事情を聞かず、頭ごなしに上から説教をされたことがあり、それからずっと大人が嫌いでした。
中学校、高校と進学しましたが、やはり大人が好きになれず。
大学生になっても、大人に反抗し…自分が大人になることにも、自分の未来にも悲観的でした。

でも今では大人が好きで、自分も大人を楽しめています。

その理由は信頼できる大人との出会いでした。
アルバイト先の店長に働くこと、大人になることの楽しみを教わったんです。
信頼できる大人と出会え、大人を好きになれた時から僕の人生が変わり始めました。

児童養護施設の子供達にも、僕が体験したきっかけ「素晴らしき出会い」を体験してもらいたいと思って、僕はボランティアをしています。

僕たちがボランティアをする際に、人生を楽しんでいる大人としての背中を見せることができれば…
施設にいる子供達も、過去の僕と同じように、未来の自分に希望が持てるのではないかと思っています。